鬼姫伝説 Ⅱ



「遅いなー」



ここには、時間をつぶせるようなものが何もない。
携帯だって本だって、テレビだって。
なにもないのだ。



だから、窓から外を眺めては鳥が飛び立つのを見つけたり、気まぐれに腹筋なんかをしたりして時間をつぶす。




いったい、なにをしに行ったんだろう。
鬼にもいろいろあるんだろうか。



鬼・・・。
まさか、本当に存在していたなんて。



でも、今はいない。
今、私が生きていたあの時代には鬼なんていなかった。




これからの時間の中で絶滅してしまうんだろうか。





私の神社に伝わる伝説は・・・。
あれは、鬼羅と千代さんのことなんだろうか。




そんな事を考えながら時間が過ぎて行った。






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