鬼姫伝説 Ⅱ



「千菜ちゃん!」

「千菜!」




す・・・と痛みが引いていく。
あ、ほら・・・。


私は身体を起こし、深く息を吐いた。




「ごめん・・・。大丈夫だから。よくあることなの」

「よくあるって。どこか悪いのか?」

「ここまで痛んだことはなかったんだけどね。私の胸のところに痣があってそれが時々痛むのよ」




胸元を指さしながらそう言った。
痛みが引いてしまえば平気なんだ。




「痣・・・?」

「そう。変なのよ。鈴の形をしているの」

「・・・鈴、だと・・・?」




鬼羅の顔色が変わった。
同じように琉鬼くんの顔色も。
え、どうしたっていうの?





「見せろ!」



鬼羅が乱暴に私の着ている着物に手をかけた。



< 90 / 198 >

この作品をシェア

pagetop