鬼姫伝説 Ⅱ
あまりにも、鬼羅が幸せそうに言うから。
そうであってほしいと願っている声で。
千代さんを求めるその瞳で私を見るから。
「千菜ちゃん?」
「私は・・・・千代さんなんかじゃない!」
何度そんなことを叫んでるんだろう。
顔が似ていると言われた時からずっと。
ここではずっと、千代さんの影がちらつく。
いないはずの千代さんが、ずっと私を付け回す。
皆が求めてるのは千代さんだってことを、つくづく思い知らされる。
私が必要にされてるのは、千代さんに似てるから。
何度、そう確信して傷ついているんだろう。
私は、小屋を飛び出した。