鬼姫伝説 Ⅱ
外灯なんてない森は真っ暗で。
月明かりだけが辺りを照らす。
何度も木にぶつかりながら、走って走って逃げた。
情緒不安定だ。
こんな風に何度も何度も鬼羅たちを困らせて。
きっとがっかりしてる。
お姫様だった千代さんは、きっともっと女の子らしくてヒステリックに怒ったりなんてしなかったんだろうな。
そんな千代さんの事を好きな鬼羅が、私みたいなヒステリックな女好きになるはずがないんだ。
鬼羅の事が好き。
時々チラつくその思いが、確信に変わる前に。
だって、鬼羅の瞳に私はうつらない。
鬼羅の目に映るのはいつだって千代さんだけなんだから。