コーナーストーン
プロローグ
アレンは走っていた。
この日、騎士団が新たに団員を募集していたのだ。
もう試験まで数分もない。
やっとの思いで城門まで着いた。
『第15期新兵希望のアレン・スミスです。』
門兵に説明すると怪しい目で見られた。
持っていた紙をペラペラとめくり、真ん中くらいで手を止めた。
『ああ、アレン君ね。これから新兵になろうとする者が遅刻ギリギリとはね。』
腹の中では悪びれてもいないが、すみませんと一言謝った。
『試験会場はここから入って、突き当りを右だ。走れば間に合うだろう。』
頭を下げ、また走った。
ああ、朝からどれほど走ったのだろう。
そんな事を考えて走っていると広場に出た。
屈強そうな男、華奢な男、中には女までいた。
ここの居る奴が騎士団に入りたいのか。
嫌になるほど暑い日だった-