Ri.Night Ⅱ
っていうか、気のなる事が一つあるのですが。
「愛歌さん、“コレ”って可愛いくはないよね?」
「……ん?」
自分の全身を指でなぞれば、鏡越しに「あぁ」と頷いた愛歌さん。
「確かに“可愛く”はないわね。どっちかって言うと“綺麗”?」
愛歌さんの反対側に立った真紀さんが鏡越しにそう問い掛けると、愛歌さんはニッと笑って決めポーズのピース。
「そうそう。今回の凛音ちゃんのテーマは“男の子を誘惑しようぜベイべー☆お色気バージョン”だから」
……なんじゃそりゃ。
愛歌さんのヘンテコなテーマに思わず噴き出したあたしと真紀さん。
「愛歌さん、ありがとう!あたし色気全然ないけど、今日愛歌さんに綺麗にして貰ったからちょっとは色気出た気がする!」
「なーに言ってるの。凛音ちゃんは色気ありまくりよ!お姉さんが保証してあげる!
さぁ、行って来い、愛しのベイベー!!イケメンをゲットしてくるのよ!」
「オ、オー!」
あたし以上に燃えている愛歌さんに促され、天井に向かってガッツポーズ。
そんなあたし達を、真紀さんは苦笑しながら見ていた。
「あ、凛音ちゃんもう三時じゃない。早く行かなきゃ!」
ハッと我に返った愛歌さんが時計を見て慌てて片付け始める。
荷物を持ち、さぁ行こう、とリビングを出ようとした時だった。
「あっ!」
忘れてた!
真紀さんに大事な事頼むの忘れてたよ!
「真紀さん!ちょっと頼みたい事があるの!」
「頼みたい事?」
「そう!あのね……」