Ri.Night Ⅱ
───…
「お嬢ちゃん、本当に此処で降ろしてもいいのかい?」
「うん!ありがとうおじさん!」
不安そうにそう問い掛けてきた運転手さんに支払いをして、浴衣の裾を擦らない様に気をつけながらタクシーから降りる。
やっと着いたー!
倉庫を見上げて、んー、と小さく背伸び。
さてと。皆の所へ行きますか!
……と、気合いを入れたものの。
荷物が重たい……。
浴衣だから腕に掛けられないし、結構つらいよコレ。
入口は直ぐそこにあるのに、腕はプルプルしてるし歩きにくいしで最悪だ。
良し。荷物運ぶの誰かに手伝って貰おう。
「たのもー!」
まるで道場破りの様に溜まり場へと足を踏み入れれば、一斉に振り向いたメンバー達。
ま、こんな格好で現れたら驚くのは当たり前だよね。
反応のない皆に一人ウンウンと頷くけれど、一向に返事がない。
……そろそろ何か返事してくれても良いんじゃない?
何だか虚しくなってきて、視線を上げれば。
ちょ、皆の視線恐いんだけど……!
今まで向けられた事のない視線に、プルプルチワワになる凛音ちゃん。
……痛い。
視線がめっちゃ痛い。
お前誰だよ的な視線がバシバシ刺さってるんですけど。
これってさ、もしかして、いや、絶対にあたしだって気付かれてないよね。
「あの~、どちら様ですか?」
ほら、やっぱり!