Ri.Night Ⅱ
あたしの様子を窺うようにそろっと近付いてきたのは仲の良い冬吾くんで。
まさか冬吾くんが気付かないなんて……とショックのあまり一歩後退しまった。
毎日合ってるのに気付かないなんて。
有り得ない!
「冬吾くんの馬鹿ー!皆の馬鹿ー!気付いてよー!」
浴衣にも関わらず地団駄を踏むあたしはまるで駄々っ子のようで。
けど、気付かれなかった事がショックだったのだから仕方ない。
「ま、まさか……」
「……十夜に告げ口してやる」
そう恨みがましく呟けば、
「えぇーーーー!!」
あたしだと確信したのか、同時に絶叫した皆。
「り、凛音ちゃん?」
「マジかよ……」
「俺、どこの姐さんが来たのかと思った……」
「俺も俺も」
信じられないとでも言うようにあたしを上から下までジロジロと見てくる皆に、しょんぼり落ち込むあたし。
「そんなに変かな?綺麗な浴衣だと思うんだけど……」
「えっ!?変じゃないよ凛音ちゃん!綺麗だよ!」
「そうそう!すっげぇ綺麗!綺麗過ぎて分からなかっただけ!」
両腕を上げて自分の格好を再確認にするあたしにフォローしてくれるけど、それ全然フォローになってないからね。
「うん。お世辞でも綺麗って言ってくれて嬉しいよ。ありがとー」
「いや、お世辞じゃねぇんだけど……」
「マジでヤベェよな……」
陰でそんな事を言われてるなんて知らないあたしは、冬吾くんのリクエストでクルクル回転して浴衣をお披露目。
モデルさんになったみたいで気分が良い。