Ri.Night Ⅱ
「何で!?」
「………」
十夜の元へ駆け寄って行ってそう問い詰めるけど無言で。
もう、都合悪くなったら直ぐ黙り込むよね!
だんまりを決め込む十夜を睨み付けていると、周囲からククッと押し殺したような笑い声が聞こえてきた。
振り返ると、何故か肩を揺らしながら笑いを堪えてる四人の姿があって。
何なのよ、もう!
十夜もだけど、ここで笑う皆も意味分かんない!
……って、もしかして!!
「十夜も浴衣着たかったんだね!」
「……あ?」
やっぱり!
反応を示した十夜に、良しきた、と指をパチンと鳴らす。
「大丈夫!皆にも着て貰うから!」
そう言って、玄関に放置されている紙袋の元へ行き、浴衣を取り出すと。
「……マジでか」
流石の煌も予想してなかったのか、いきなり登場した浴衣に目を見開いて驚いた。
ふふふん。帰り際、真紀さんに頼んで貸して貰ったのさ。
実はママと同じで浴衣が大好きな真紀さん。
自分だけじゃなく、旦那さんや息子である凌の浴衣も沢山持っている。
うちにもパパとか貴兄とか優音のがあるけど流石に取りに行けないから、無理言って凌の浴衣を借りてきた。
「これが彼方でー、これが壱さんでー」
自分がチョイスした浴衣を袋から出し、一人ずつ手渡していく。