Ri.Night Ⅱ
……ん?
駐車する壱さんに見惚れていると、突然鳴り始めたスマホ。
良い所だったのに、と文句を垂れながらスマホを取り出せば、画面に表示されていたのはなんと貴兄の名前で。
げっ。何でこんな時に。
よりにもよって何で十夜と壱さんが居る時にかけてくるかな……。
……どうしよう。
今はとでもじゃないけど出られる状況じゃない。
そうこう思っている内に着信が止まり、ホッと安堵の溜め息が零れ落ちる。
「……出なくて良かったのか?」
「え?あぁ、いいの」
そう答えたのに、再び着信音が鳴り始めて。
「鳴ってんぞ。気にしねぇから出ろよ」
「……う、うん」
そう言われたら出ない訳にはいかなくて。
高鳴る鼓動を抑えながら受話ボタンをスライドさせた。
と同時に音量を最小にして、はい、と応える。
『凛音?お前今日は──』
「ごめん、また後で電話するから!」
それだけ言って、直ぐ様通話終了ボタンを押す。
……はぁ。もう心臓に悪いんですけど……。
「電話、いいのか?」
「え?あ、うん。長くなりそうだからまた後で電話するよ」
「………」
「……十夜?」
突然黙り込んだ十夜に首を傾げる。
あたし、何か変な事言ったっけ?