Ri.Night Ⅱ
「ハッ。どこぞの極妻かよ」
「はぁ!?」
馬鹿にするように鼻で笑った男に一瞬にして殺意が芽生えた。
「どこが極妻なのよ!!」
「どこがって全部だろ。……っていうかお前一人か?」
「皆で来たけどはぐれたのよ!」
「何だ。迷子かよ」
「うるさい!迷子じゃないし!ただはぐれただけだし!」
「それを迷子っつーんだよ」
キィィィィィ!
何コイツ、煌並みにムカツク!!
「ま、精々迷ってな」
フンッと鼻で笑ったかと思えばクルリと背を向け、ヒラヒラと手を振りながら歩き出す男。
は?ちょっと!
「何。今日は攫おうとしないの?」
嫌味ったらしくそう投げ掛ければ、
「攫って欲しいのかよ」
肩越しに振り返って不敵に笑って見せるムカツク奴。
「そうじゃないけど、アンタ今まであたしの顔見たら攫おうとしてたじゃん!」
「……はぁ。お前、ホント馬鹿なんだな。こんな人多いとこで攫ったりするかよ。まぁ、心配すんな。お望み通り近々攫いに行くからよ」
そう言って再び歩き出す男に「来なくていいし!次来たらボコボコにしてやるからね!!」と叫ぶけど、男は振り返らなかった。