Ri.Night Ⅱ



「ごめんね、貴兄。許して」



拗ねまくってるお兄様の機嫌を取る為、猫なで声で許しを請う。


すると、貴兄からは『別にいいけど……』と歯切れの悪い返事が返ってきて。



あたし、貴兄の扱い上手くなってきたんじゃない?



一人で得意気にエッヘンとふんぞり返る。



って、そんな事はどうでも良くて。




「どうかしたの?用事?」


『あ、あぁ。お前今何処に居る?今、お前んちの近くで祭りやってんだろ?さっきそこに行くのかって聞こうかと思って電話したんだよ』


「あっ、何だ、その事だったの?今、そのお祭りに来てるよ」



電話をしながら川沿いの大通りに出ようと雑木林の中を横切って歩いていく。


流石にあの人混みじゃ貴兄の声聞こえないからね。



『やっぱりな。お前祭り好きだもんな。今年も新しい浴衣なんだろ?ちょっと見せろよ』


「はい?見せろってこれから貴兄んとこまで行けっていうの?」



それは無理だよ。遠いし。


それに、十夜達も一緒だし。



『いや、実はな、俺もその祭りに来てんだよ』


「はぁ!?」



今なんて!?貴兄がここに来てる!?


だから電話の向こうがガヤガヤうるさいの?



『だからさ、ちょっとでいいから会おうぜ。お前今どこに居んだよ?』


「え?えーと、知らない神社?にいるけど……」


「神社?ってかこれか?もしかしたら近くにいるかもしれねぇ」


「え?どこ?」



やっと雑木林を抜け、川沿いの大通りに出たあたしは貴兄を探そうとキョロキョロ辺りを見渡す。


けど、人が多すぎて貴兄らしき人は見当たらない。

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