Ri.Night Ⅱ


「何処?そこから神社の鳥居見える?」


十夜達と合流する前に貴兄と会わなきゃ。


じゃないと───。


そう思った時だった。

耳を塞ぎたくなる様な奇声が、前方と電話口、両方から聞こえてきた。


ちょ、何事!?


『凛音?今、お前の方からも同じ叫び声が聞こえたけど近くに居んのか?』


「多分!ちょっと待って、もう少しで──」


「……っ、来んな!!」


──え?


突然の叫び声にピタリとその場に止まった両足。


と、ちょうどその時、前方の人垣が割れ、貴兄の姿が視界に飛び込んできた。


「あ、貴兄はっけ───っ、」







………え?



「……お前、絶対こっち来んなよ。そのまま引き返せ」


「……っ、う、ん……」


……貴兄、遅いよ。

あたし、見ちゃった。

もう見ちゃったよ。



「嘘だ……」



あたしが一番見たくなかった光景。


貴兄と十夜達が対峙している姿を、この目でしっかりと見てしまった。
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