Ri.Night Ⅱ


どうして獅鷹と鳳皇が一緒に居るの?


どうして……。



すぐ目の前で起きている光景に、クラリ、眩暈がして。

同時に、呼吸が苦しくなった。


震える手と唇。

スマホを持っている感覚すらもう無い。


けど、それでも目の前に広がる光景から目が離せなかった。


全身が震えても、汗が噴き出しても、皆から視線が外れない。


「……っ…たか、」


……にい。


貴兄。


そう声に出して呼びたいけど、喉奥に詰まって出てきてくれない。


『……ちょっと待ってろ』


周りのざわめきであたしに聞こえないと思ったのだろうか。


貴兄は耳元にあてていたスマホを切らずに、そのままの状態で下へと移動させた。



……貴兄、無駄だよ。

だって、見えてるんだもん。


どれだけスマホを離しても、

どれだけ小声で喋っても、

貴兄が何をしているのかだってあたしには分かってる。


見えてるんだよ。何もかも。

全部、見えてる。



貴兄と獅鷹幹部が十夜達を睨んでいるのも。

十夜達が貴兄達を睨んでいるのも。


全部、見えてるんだから。
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