Ri.Night Ⅱ
「彼方、凛音ちゃん離してあげなよ。じゃないと陽が潰れるよ」
「……あ」
壱さんの呆れた声が聞こえ、そこでようやく陽が息苦しそうにしてるのに気がついた。
可哀想だから力を緩めてあげようと思ったけど、彼方が陽の首にも腕を回してるもんだからこれ以上は身動きが取れない。
「早く離さねぇと痛い目見んぞー」
「……は?」
「へ?」
その発言に素頓狂な声を上げたあたしと彼方。
と、その時、寝室のドアが開いた。
「ほらな」
出てきたのは十夜で、ちょうど寝室の前で抱き締められていたあたしはバッチリ目があってしまった。
「………」
「………えへ」
睨んでる。
すっごい睨んでいる。
「──彼方、離せ」
「……ハイ」
威圧感タップリのその声に、サッと腕を離してとんずらをかました彼方。
逃げやがったなあの野郎!
「──来い」
「へ?ちょ……!」
彼方を睨みつけていると、いきなりあたしの手を握ってソファーの方へと歩き出した十夜。
「お前のだ」
ソファーの上に置いてあった紙袋を手渡され、「開けてみろ」と顎で促される。