Ri.Night Ⅱ
「これ……」
紙袋の中から出てきたのは皆が着ているものと同じ漆黒の特攻服。
これってもしかして……。
「……あたし、の?」
「あぁ。お前のだ」
頷いた十夜にから特攻服へと視線を落としてそっと広げてみると、飛び込んできたのは十夜と同じ“鳳皇”という文字と二羽の“鳳凰”。
「……っ」
それを見た途端、胸中に色々な感情が一気に込み上げてきた。
心の中でせめぎ合う様々な感情。
皆が好きだと言ってくれて嬉しかった事や、貴兄の事を隠しているという罪悪感。
──そして、皆と同じ特攻服を身に纏える嬉しさ。
それが頭の中でごちゃ混ぜになって、何て言ったらいいのか分からない。
それでも……。
手の中にある特攻服を見つめる。
──それでも、やっぱり今はこれを貰った嬉しさの方が勝(マサ)った。
「馬鹿か。こんぐれぇで泣きそうになってんじゃねぇよ」
いつの間にか傍に来ていた煌が、グリグリとあたしの頭を押さえ込む。