Ri.Night Ⅱ
「だってぇ……」
嬉しいんだもん。
「……ったく、良いから着てみろよ」
「いだっ!」
何よ。デコピンしなくてもいいじゃん。
「りっちゃーん早く着ろよ!」
「凛音早く早く!!」
いつの間にかソファーに座っていた陽と彼方が、背もたれにもたれながらキラキラとした瞳であたしを見ていた。
「凛音、着てみろ」
「十夜……」
うん、と小さく頷いて、特攻服に袖を通してみる。
わっ。ピッタリだ。
初めて着た特攻服は思ったより軽くて着やすい。
「凛音カッコイーじゃん!!」
「りっちゃん似合ってんぜー」
「凛音ちゃん可愛いよ」
両手を広げてクルクル回ると、皆が口々に褒めてくれて上気分。
「ホント?似合ってる?」
広げた両手を上下させながら更にクルクル回る。
そんなあたしを見て「目回るよ~」と笑う皆。
「……ったく、今からそんなにはしゃいでたら後で疲れんぞ」
背後から声がしたと思ったらコツンと頭を小突かれて。
「もう!さっきから痛いってば!」
文句を言おうと振り返ったけど、そこにはもう煌の姿はなかった。
……あれ?
「先に下行ってるわ」
その声に振り向けば、いつの間にか玄関へと移動していた煌。
ヒラヒラと手を振って玄関から出ていく。