Ri.Night Ⅱ
「凛音ナイス!」
ナイス、じゃないし!
グッと親指を立てる煌にガックリ項垂れて、蹲っている男へと目を向ける。
っていうか、何でいつも蹴る所が“ソコ”なの?
中田の時も……って、中田の“ソコ”を蹴ったのもこの柊公園じゃん!!
「てっめぇ……」
「あはははは……」
っていうか、そんなお間抜けな格好で睨まれても……ねぇ?
「うん、ごめん。でもそれはあたしが悪いんじゃなくてこの柊公園が悪いんだよ。だから諦めて」
そうそう。
悪いのはこの柊公園なのよ。
ぜーんぶ柊公園の呪いのせい!
っていう事にしておこう。
「テメェ……意味分かんねぇ事言ってんじゃねぇぞ!」
うん。
その怒りは尤もです総長さん。
「まあまぁ、落ち着いて、って、わぁ!!」
突然背後から右手を引っ張られて、身体が後ろへと倒れる。
またしても敵かと思ったら、
「アイツに構うな」
そう耳元で囁かれて、ギュッと強く抱き締められた。
でもそれはほんの一瞬だけで、すぐに手を引かれて歩き始める。
「十夜……」
あたしの手を引いているのは、煌でも彼方でもない、ずっと会いたいと思っていた十夜で。
直ぐ傍に十夜が居ると分かった途端、あたしの頭の中は十夜で一杯になった。
繋がれた手が熱を帯びていく。