Ri.Night Ⅱ
煌と彼方に向かって行くぞと目配せした十夜は、黒烏を振り返る事なく公園の入り口に待機してある車へと突き進んでいった。
だけど、奴等がそんな簡単に逃がしてくれる訳がなく。
「アイツ等を追え!!」
背後から聞こえたその咆哮に、呆然と突っ立っていた下っ端くん達が慌てて動き出した。
行く手を阻む敵を片手一本で倒しながら突き進んでいく十夜。
雪崩れ込むようにして車に乗り込み、スタンバイしていた壱さんが慣れた手付きでシフトレバーを操作する。
あっという間に発進した車に、「はぁ……」と大きく溜め息をついて座席に倒れ込んだ。
「凛音ちゃん、大丈夫?無事で良かった」
「壱さん、迎えに来てくれてありがとう。寿命縮まったよ~」
もう二度とあんな目には合いたくない。
「壱、俺はついにりっちゃんの伝家の宝刀を見たぞ」
「え?伝家の宝刀?」
「ちょ……!」
そんな事壱さんに言わなくていいから!!
キョトンとする壱さんに深く頷く彼方。
「スゲェだろ、コイツの蹴り。あ、駄目だ。また笑えてきた」
その時の事を思い出したらしい煌が、また爆笑し始める。