Ri.Night Ⅱ
「って言うかさー、陽を置いて行ったって事は陽ってもしかして喧嘩弱いの?」
「はぁ?」
あたしの言葉に、勢いよく顔を上げる陽きゅん。
「だって、陽が強いんなら置いていくの彼方でも良かった訳じゃない?彼方を連れて行ったって事は彼方の方が強いからじゃないの?」
息つく暇も無くそう並べ立てれば、案の定陽きゅんはお怒りワンコになっていて。
「俺の方が強いし!!」と可愛い顔で牙を剥いてきた。
ニシシ……。かかったな。
「陽はそう思いたいんだろうけど……仕方ないよ、うん」
はぁ、と大袈裟に溜め息を吐き出して、ドンマイ、と陽きゅんの肩を叩けば、
「俺の方が強いから!!」
これが演技だとも気付かずに憤慨する陽きゅん。
もう可愛いすぎるんですけどこの子。
「……うーん。じゃあ十夜達ヤバいかもね~。強い陽くんが居ないと負けちゃうんじゃない?あたし、陽が喧嘩するとこ見てみたいなぁー」
ジーッと上目遣いで陽を見つめれば、陽きゅんは「うっ」と可愛いリアクションを見せて、
「分かったよ!俺が強いとこ見せてやる!!」
スクッと立ち上がって「ほりゃ!」と右手を突き出した。
そんなプリティ陽きゅんに「わーい。嬉しい!」と手を叩いて、心の中でガッツポーズ。
単純な陽きゅん、好きだよあたし。
あっさり引っ掛かった可愛い陽に笑いそうになったけど、必死に我慢。
「じゃあ行こっか!レッツゴー!!」
陽の気が変わらぬ内に、と強引に腕を引っ張って玄関へと連れて行く。
ふふふーん。赤髪男待ってろよー!