Ri.Night Ⅱ
「凛音ちゃん」
「……壱さ~ん」
横に並んだ壱さんに救いの眼差しを向ければ、頭を優しく撫でられて、この場に似つかわしくない穏やかな笑みが向けられた。
「帰ったら十夜に怒られるかもしれないけど、でもそれはね、誰よりも凛音ちゃんの事を心配しているからだよ?」
「……壱さん」
笑みを深める壱さんに少しだけ目を見開く。
「十夜は凛音ちゃんを危険な目に遭わせたくないんだ。それだけは分かってあげてね」
「……うん」
壱さんの言葉に頷いて、十夜の背中を見つめる。
馬鹿だ、あたし。
壱さんに言われてやっと気付くなんて。
“お前は、何で俺が置いて行ったのか分かんねぇのかよ”
さっきのあの言葉。
あれはそう言う意味だったんだ。
それなのにあたしは陽を巻き込んで此処に来てしまった。
十夜、ごめんね。
本当にごめん。
心配かけてごめんなさい。
帰ったら皆に謝らなきゃ。