Ri.Night Ⅱ


「凛音……」



甘い囁きと共に落ちてくる温かい感触。


それは確かに唇に触れていて。


「凛音……」


唇が離れる度あたしを呼ぶ十夜の甘い声に、堪らず吐息が零れた。



「とお、や……」


時折聞こえる甘い吐息に誘われて、空いた右手が十夜の首に吸い寄せられていく。


指先に絡むのは、十夜のサラサラな髪の毛。


その感触を指先で感じながら、何度も何度も角度を変えて蕩けるような甘いキスを繰り返す。


「十夜……」


離れていく唇に不満を洩らせば、それに応えるようにそっとキスが落ちてきた。




「──凛音、好きだ。俺のモンになれよ」




鼓膜に響いたその言葉にトクンと胸が高鳴って。

じわり、涙が溢れる。




……十夜。


あたしも、



「あたしも好き……」


「……っ、」




好きだよ。


十夜の事が好き。


世界で一番、十夜の事が好き。



──夢の中だったら、


夢の中だったら言ってもいいよね?



だって、もう苦しい。


好きって言えないのも我慢するのも。


苦し過ぎて、もう堪えられない。



だから今だけ。


この幸せな夢の中だけで良いから言わせて。




「十夜……好き」

< 238 / 348 >

この作品をシェア

pagetop