Ri.Night Ⅱ
34.幸せな時間
────…
「……ん……」
背中が、熱い……。
何でこんなに熱いの?
どうにかして回避しようと身を捩るけど、思うように動けなくて。
足に何か当たってる?
そう思うけど、苦しくて確認出来ない。
んー、眠たい……。
今何時なんだろう。
時計を探そうと目を開ければ、薄っすらと見えるのは手らしきもの。
なんだ。手か。
……って、手!?
驚きすぎて一気に目が覚めた。
と同時に左手に感じた違和感。
え、あたし十夜と手繋いでる?
今まで何度も一緒に寝たけど、起きた時手を繋いでるのは初めてだ。
……え、どうしよう。
これって外そうとしたら十夜起きちゃうかな?
でも、このままっていうのも恥ずかしいし。
どうしよう…。
繋がれてる手をジッと見つめたまま真剣に考える。
とその時。
「……っ」
背後から腕が伸びてきて、そのまま巻き付けられた。
背中から伝わる十夜の体温に、心臓がトクトクと主張し始める。
「……十夜?」
控えめに呼んでみるけど、十夜からの返答はない。
聞こえるのはスースーという可愛い寝息だけ。
寝てるとこんなに可愛いのに、起きると何であんなに愛想無くなるんだろう。
「………」
……っていうか、あたし、もしかしてずっとこの体勢のままなの?