Ri.Night Ⅱ
「……はぁ。マジかよ。もしかしたらと思ったけど……。お前、マジで有り得ねぇ……」
「はぁ?」
キョトンとするあたしを見て何かを悟ったらしい十夜さんは、眉間を押さえながら何故か項垂れている。
……意味分かんないんですけど。
「え、もしかしてあたし、何かした?夢見るぐらい爆睡してたから全然覚えてないんだよね」
「夢?」
「うん。何の夢かは覚えてないんだけど……。なんか幸せな気分だった」
美味しいものでも食べたのかな?
「幸せ……」
「うん。なんか……って、なになになに!?」
繋いでいた手を引っ張られて、十夜の胸元に思いっきりダイブ。
前のめりのまま首に腕を回されて、ギュッと力一杯抱き締められた。
「お前、今日は寝かせねぇからな」
「………は?」
はぁぁぁぁぁぁぁ!?
ちょ、ちょっと朝っぱらから何言ってんのこの人!!
寝か、寝か、寝かせねぇって何!?
「と、十夜、頭大丈夫?」
夜中、ベッドから落ちて頭でも打ったの!?
「………」
「痛い痛い痛い痛い痛い!!」
どうやら違うらしい。
「ギブギブギブ!」
ちょ、抱きしめられて嬉しいけど、
物凄く嬉しいけど!
痛いのはいらないー!
「……寝るなよ?」
「寝ない寝ない!寝ないから!!」
だから離してー!
もう痛いのか苦しいのか分からなくなってきて、十夜の背中をバシバシ叩いて降参する。
すると、十夜の腕の力が段々と弱くなっていった。