Ri.Night Ⅱ
……はぁ。死ぬかと思った……。
大きく深呼吸して、呼吸を整える。
……って。
「十夜?」
許してくれたんじゃないの?
力は緩めてくれたものの、一向に腕を離そうとしない十夜に首を傾げる。
「──ムカつく。俺だけかよ」
「……へ?」
突然なに?
「何が俺だけなの?」
意味分かんないんですけど。
「十夜?」
拗ねてないで何か言ってよ。
顔を逸らした十夜さんは見るからに不満顔で。
そんな顔されてもこっちが困る。
「とお──」
「お前等!いつまでイチャついてんだよ!早く出て来い!」
「ちょ、十夜!煌が来た!離して!」
突然響いたドアを叩く音に焦って、力任せに十夜を突き飛ばす。
「……お前、夜覚えてろよ」
お、覚えとけ!?
え、あたし何されんの!?
もしかしてリンチ!?
身の危険を感じて、ベッドの端へと四つんばになって逃げるあたし。
「………はぁ。俺の方が夢見てたのかもな」
「はぁ?」
これ見よがしに溜め息を吐き出す十夜に思わず馬鹿にしたような声が出てしまい、そのせいで思いっきり睨まれる羽目に。
「……ごめんなさい」
コワイです十夜さん。
っていうか、何であたし睨まれなきゃなんないの!?
「……バーカ」
「バッ……!?」
はぁ?なんであたしが馬鹿呼ばわりされなきゃなんない訳!?
言い返してやろうと腰を上げれば、逃げるようにベッドから下りた十夜。
そのままこっちを振り返る事なく寝室から出て行った。
「ちょっとー!言い逃げするな馬鹿ー!」
消えていった扉に向かってそう叫び、怒りを枕にぶつける。
うぬぬぬぬぬ……。
朝から意味分かんない事ばっかりなんだけど!
目覚めは良かったのに最後は馬鹿扱いって。
あーもー、何なのよー!