Ri.Night Ⅱ
────…
「凛音ちゃんおはよう」
「壱さん、おはよー!」
……あぁ。
朝から壱さんのキラキラスマイル見れるなんて、し・あ・わ・せ……。
「妄想馬鹿女。ウットリしてねぇで早く乗れ」
「誰が妄想……て、いたっ!ちょっと!突き飛ばさなくてもいいじゃん!」
毎度毎度邪魔しやがって!
ドンッとあたしを突き飛ばした煌を窓越しに睨み付けると、同じく窓越しに鼻で笑いやがった煌。
ムカツクー!!
車から降りたらシメてやる!
そう拳を握り締めてそう決意した時。
「重い」
「ギャッ!」
頭上から聞こえてきたのは総長様のお声。
「……あは」
どうやらあたしは総長様のお膝をクッションにしてしまったらしい。
朝から身の危険を感じたあたしは、ガバッと勢いよく起き上がると、素早く後ずさった。
「うん、煌が悪い」
睨みを効かせる十夜に、ヘラッと笑って煌を指差す。
「オイ!人のせいにすんなよ!お前がウットリしてんのが悪ぃんだろ!」
「はぁ!?どう見ても煌が悪いでしょうが!普通レディを突き飛ばす!?それに壱さんにウットリするぐらいいいじゃない!カッコイイんだからっ!!」
はぁ。一気に喋りすぎた。煌と絡むといつも疲れるんだよね。
「……俺、知ーらね」
「はぁ?何が?」
また訳分かんない事言い出したし。
前を向いて座り直す馬鹿煌に「ケッ」と忌々しげに放った時、ぞわっと背中が総毛立った。
ふ、振り向けない。