Ri.Night Ⅱ
「分かった」
「……っ」
不意に届いたその言葉に、ビクッと身体が震える。
同時にズキンと心が痛んで、胸元をギュッと握り締めた。
「言えるもんなら言ってみろよ」
「……え?」
「まだ十夜に言ってねぇんだろ?」
「……うん」
「だったら十夜に言ってみろよ」
……どういう、こと?
煌の言ってる事が分からなくて、顔を顰める。
そんなあたしの表情に、煌がククッと愉快げに口角を引き上げた。
「アイツが“抜ける”って言って納得する訳ねぇからな。だから言ってみろよ」
「………」
……何、それ?
そんな訳……。
「アイツはぜってぇ許さねぇ。誓ってもいいぜ」
「………」
自信満々にそう言う煌に、あたしは何も言い返せなかった。
──ガチャ。
「悪い、待たせたな」
タイミングが良いのか悪いのか、気まずい雰囲気の中十夜が帰ってきた。
「じゃあ行ってくるわ。また後でな」
「あぁ」
すぐに立ち上がった煌は、「まぁ頑張れよ」と一言だけ残してリビングを出ていく。
……“まぁ頑張れよ”、か。
チラリ、二人掛けソファーへ座ろうとしている十夜を盗み見る。
十夜はソファーに深く腰掛けた後、ポケットからライターを取り出して煙草に火をつけた。
何をしていても様(サマ)になる十夜に目を奪われて釘付けになる。
……ねぇ、十夜。
あたしが鳳皇を抜けるって言ったら反対する?
抜けたら寂しいって思ってくれる?
ねぇ、教えてよ十夜。