Ri.Night Ⅱ


「起きてたんなら早く目開けてよ!」

「………」


もう!狸寝入りの意味が分かんないんですけど!



「ホラ、壱さんと煌、先行っちゃったよ?早く出よ!」


目が覚めたにも関わらず、一向に動こうとしない十夜に口を尖らせるけど、動いてくれる気配はない。


「もう!まだ怒ってんの!?」


一旦手を離して車から降りると、もう一度十夜の手を掴んで車内から引っ張り出した。


ったく!デッカイ子供みたいだよね!



「十夜!罰として今日はアイス買ってね!」


「何の罰だよ。お前が食いてぇだけだろうが」



ギクッ。


さ、さすが大魔王。

無理矢理そっちにこじつけたのを分かってらっしゃる。



「えー、いいじゃん。だってさ、昨日馬鹿男のせいでアイス食べれなかったんだもん」



思い出すのは昨日の事。


あー、思い出したら腹立ってきた。

謝らせるだけじゃなくてアイス弁償させればよかった。



「帰り買ってやるよ」


「えっ、買ってくれるの!?」



十夜の買ってくれる発言にパァと笑顔になるあたし。

そんなあたしを見た十夜は肩を竦め、「現金な奴」と小突いてきた。




「あ、早く行かなきゃ!壱さん待ってる!」



駐車場の入り口で立ち止まっている壱さんと煌を見て、十夜に早く行く様促す。


あれ以上遠くなると車のロック出来ないからね。

折角先に行ったのに待たせるのは可哀想だ。

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