Ri.Night Ⅱ
『何か用事があるのか?』
「えっ!?いや、何もないよ?」
貴兄の探るような声色に、少しだけ心の中を見透かされたような気がして若干声が上擦った。
最近、貴兄と接している時に十夜達の事を思い出したり考えたりすると、少なからず動揺というか変に緊張する。
だって、あたしの一言でいつバレるか分からないから。
貴兄と喋るのはある意味命懸けだ。
『ならいいだろ?明日こっちを出る前、電話する』
「うん」
『じゃあまた明日な?今日は早く寝ろよ?』
「うん。貴兄もね?」
『バーカ。お前と一緒にすんな。じゃあな』
「……バイバイ」
『ははっ、怒んなよ。明日アイス買ってやるから』
「パフェがいい」
アイスは今日買いに行くもんね。
『どっちも買ってやるよ。じゃあな』
「やった!じゃあまた明日!バイバイ!」
耳からスマホを離して、ルンルン気分で通話終了を押す。
「陽、ごめんねー……ってあれ?」
陽が居ない。
振り返れば、さっきまでそこに居た筈の陽の姿がなくて、どこに行ったんだろうと辺りを見回した。
あ、居た!
教室入り口に居る数人の男子の中に陽を発見。
「あーきー!」
「凛音!電話終わった?」
「終わった終わった!ごめんね!」
「んーん。いいよー」
ニッと笑って、力一杯手を振るプリティー陽きゅんの元へ走っていく。