Ri.Night Ⅱ
「それかさ、“呼び出された”って事だけ言って電話切るとかは?」
「………」
「………」
「ナイス!!」
あたしの返事に「よっしゃ!」と嬉しそうにガッツポーズする陽。
でも、本当にそれが一番いい方法かもしれない。
あの二人の事だ。どこに行くんだよ?って絶対聞いてくるだろうし。
さっきみたいに先生の所って言うのが一番良いんだろうけど、あたしと陽の事だ、いつボロが出るか分からない。
時間がかかったら先生の所じゃないってバレる可能性もあるしね。
それだったら正直に話した方が良いような気がする。
どっちにしてもバレるんなら正直に話した方が良いよね。
よし。さっさと行って早く十夜達の所へ行こう。
あたしにはこれから十夜との放課後デートという大イベントが待ってるんだから!
「陽!善は急げだ!十夜に電話!」
「承知した!」
あたしのノリにつられた陽が早々とスマホを取り出す。
「って、凛音が電話するんじゃねぇのかよ!?」
「………チッ」
バレたか。
「だって十夜恐いんだもん!」
差し出されたスマホを「結構です」と両手で押し返す。
「俺だって恐ぇよ!!」
そう言いながら、押し返したスマホを再びあたしに突き返してくる陽にむぅと口を尖らせる。
うーん、仕方ないか……。
元はと言えばあたしの用事だしね。陽は巻き込まれただけだもん。
自分の事は自分でしなきゃね。
陽から携帯を受け取って、十夜に電話をかける。
けど、何十回鳴らしても出る気配がない。