Ri.Night Ⅱ
「離せよ!」
それを腕を払い除けた陽が、護るようにあたしを背中に隠した。
「ふふ。可愛い顔して結構気が強いのね」
そう言った女は、懲りずにもう一度陽の顔に手を伸ばす。
「陽に触んないで!」
陽の後ろから手を伸ばして女の腕を力一杯引っ張る。
「腕、離してくれる?じゃないと何も話さないわよ?」
「………」
余裕綽々の態度に怒りが込み上げてきたけど、話しが進まなきゃ此処に来た意味がない。
仕方なく女の腕を離すと、それを合図に今まで後ろにいた女二人動き出した。
陽の両側にピッタリと寄り添う二人。
それを見て眉を潜める。
陽も意味が分からないようで、されるがままになっていた。
陽の両腕に絡み付く女達の腕。
「宮原くんって可愛いのね。女の子に免疫ないとか?」
「……っ」
妖艶に微笑む女に「うっ」と黙り込む陽。
「ちょっと!陽は関係ないでしょ!離して!あんた達あたしに聞きたい事があったんじゃないの!?」
「聞きたいことねぇ……。それはそっちじゃないの?」
「はぁ?」
女がニヤリと笑った方が早かったか。
それともあたしが眉を寄せ方が早かったか。
どちらかは分からないけど、気付いた時には陽の口元に白いハンカチがあてられていた。
「陽!!」
そう呼んだ時にはもう陽はその場に崩れ落ちていて、両腕を絡めていた女達が分かっていましたと言わんばかりに陽の身体を支えた。
その時になって初めて腕を絡めた意味が分かり、唇を噛み締める。
「アンタ達一体何も……ウッ」
しまった!
そう思った時には既に遅く。
陽と同様、あたしも口にあてられたハンカチ越しに空気を吸い込んでしまった。
「──答えはすぐに分かるわよ?」
徐々に薄れていく意識の中、
ハッキリと聞こえたのはその言葉だけだった。