Ri.Night Ⅱ


-煌 side-


「クソッ!アイツ切りやがった!」


何も発しなくなったスマホをギリッと握り締めて振り向くと、十夜が難しい顔で俺を見ていた。


「凛音か?」

「あぁ。アイツまたややこしい事に巻き込まれやがった」



帰ろうとしていた所に突然鳴った着信音。


出てみれば陽ではなく凛音からで。


用件は早すぎて断片的にしか分からなかったけど、繋ぎ合わせればアイツがヤベェ事に巻き込まれているって事は分かった。



「煌、ちょっと待て。先に説明しろ」


走り出そうとする俺を十夜が腕を掴んで引き止める。


確かに十夜は何が何だか分かんねぇか。


取り敢えず時間がねぇから走りながら説明する事にした。



「今朝、アイツの机に手紙が入ってたらしい」

「手紙?」


俺の言葉に怪訝な顔をする十夜。


「あぁ。多分凛音をイジメてた奴等だ。放課後来いとか言ってたから呼び出されたか何かだろうな」


「まさかその呼び出しに行ったのか?」


「あぁ。陽に着いて来て貰うとか言ってた」


「チッ」



十夜が俺から視線を外して舌打ちする。


はぁ……俺も舌打ちしてぇよ。

ったく、何でアイツはいつも問題ばかり起こすんだ。



「アイツ等、どこに呼び出されたって言ってた?」


「分からねぇ。どこかは言わなかった」


「チッ」


二度目の舌打ちが響き、取り敢えず校舎の外に出る事にした。

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