Ri.Night Ⅱ
十夜に背を向けてて良かった。
だって、あたしの顔絶対真っ赤だもん。
こんな顔見られたらあたしの気持ちバレちゃうし。
「……十夜」
「何だよ」
「ありがと」
良い思い出が出来たよ。
「……重たい、痩せろ」
……って、オイ。
感傷に浸ってるのに毒を吐かないで欲しいんですけど!
「どうやって頭を痩せんのよ!」
「……脳みそは減らすとこねぇしな」
「ちょっと!それどういう意味!?」
「そういう意味だ」
「悪かったですね!馬鹿で!」
「良く分かってんじゃねぇか」
くっそー。腹立つ!
「もう知らない!十夜の馬鹿!」
……とか言いつつも、十夜の膝の上から退かないあたし。
取り敢えずきゅっと丸まって話し掛けるなオーラを放つ。
そんなあたしを見て、フッと鼻で笑う十夜。
あーあ。全然進歩しないな、あたし達って。
喋れば喧嘩。
もう、呆れて何も言えない。
っていうか、喧嘩になるのって十夜が悪いんだと思う。
いつも意地悪ばかりだしさ。
……でも、本当は優しいんだってこと知ってる。
意地悪で無愛想だけどちゃんと仲間のことを見てて。
ふとした瞬間優しい。
今だってホラ、頭撫でてくれてるし。
でももう、この大きな手に撫でられる事はないんだ。
そう思うと、言いようのない寂しさに襲われた。
明日からはもうこの温もりを感じる事が出来ない。
寂しい……。