Ri.Night Ⅱ
「でも、この“計画”には一つ穴があった」
「穴?」
「そう。それは、凛音が桐谷達にイジメられてる事を伝えること」
あたしが十夜達に伝えること?
「凛音がイジメられてる事を桐谷達に言えばこの“計画”は全てパーになる。イジメられてると知ってアイツ等が黙ってる筈がないからな。だから様子を見た。──凛音に言わさない様にしながら」
「言わさない様にしながら……?」
どういう意味?
「変だとは思わなかったか?俺達が急に鳳皇を襲撃した事」
「襲撃?」
「あの頃、何度も下っ端が襲われただろう?」
そう言えば、あの頃十夜達は忙しそうだった。
確か、鳳皇のメンバーだけじゃなく、傘下の人達も襲撃されたって……。
「もしかして……」
「そうだよ。あれは凛音と幹部を遠ざける為のカモフラージュだ。ただそれだけの為にやった事」
「………」
「襲撃のせいでお前はイジメの事を幹部達に言えなかっただろう?」
「……っ」
確かにあの時、あたしはイジメられてる事を皆に言おうとした。
けど、皆bladeの事で忙しそうにしてるから言えなくて、これ以上迷惑をかけれないからって皆に言わずに一人で耐えた。
まさかあの襲撃も仕組まれていたことだったなんて……。
「俺はお前がイジメを受けた翌日の朝、下の奴に“手紙”を入れるよう指示した。そしてその日、鳳皇を襲撃し、凛音から幹部を遠ざけて告げるのを阻止した。
けど、ある日、ふと思ったんだよ。俺達が襲撃しなくなってアイツ等が傍に居るようになったら、凛音はアイツ等に言うんじゃないかってね」
「………」
「だから、一度目の手紙の後、襲撃するのをやめた。どうせ言われるのなら早めに言われた方がいいからな。無駄な労力は使いたくなかった」
「………」
確かに、あの時点では中田側の誰かが犯人だと思っていた。
だからあの時、十夜達に言おうとしたんだ。
結局、中田が襲撃して来たから言えなかったけど。
でも、あの襲撃がなかったらあたしは十夜達に言ってたと思う。