Ri.Night Ⅱ
37.脱走
「……ッキィー!!何が“鳳皇は終わりだ”、よ!終わりなのはアンタの方だっつーの!!アンタなんか十夜達にコテンパンに殺られちゃえ!バカヤロー!」
開いていた扉を勢いよく閉め、これでもかっていうぐらい思いっきり足で蹴りまくってやる。
ムカツクムカツクムカツクムカツクー!!
何なんだあの男は!!
ペラペラペラペラと男のくせに喋りやがって、煌よりウザいんだけど!!
あれだったらまだ煌の方が可愛げがあるし!
大体ねぇ──
──ガチャ。
ん?
今、ガチャって音しなかった?
蹴っていた足を下ろし、背中を向けてドアノブに手をかける。
ガチャガチャガチャガチャ。
「ん?」
ガチャガチャガチャガチャ。
何回右に回しても、逆に左に回してみても、さっきまで開いていたドアはビクともしない。
そこで漸く気が付いた。
ドアの鍵が閉められてしまったことを。
や、やっちゃったぁー!
あたし、自分でドア閉めちゃったよ!!
嘘でしょ!?
せっかく逃げ出すチャンスだったのに!
もう、あたしの馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿ー!!
思いもよらない大失態に、天井を仰いでその場に崩れ落ちる。
って、落ち込んでる場合じゃない。
中田の作戦をどうにか阻止しなきゃ!
スクッと立ち上がって、頼みの綱であるカッターが入った机へと走っていく。
と、その時、机の角に太ももがぶつかってその場に立ち止まった。
あれ?ポケットの中に何か入ってる?
布越しに何か当たった気がして、縛られた両手をそっとポケットに持っていった。
この形は、スマホ?
あ、そうだ!スマホ、ポケットに入れてたんだ!
良かった。サイレントにしたままだったから見つからなかったんだ。