Ri.Night Ⅱ

「よっと」


くるりと窓に背を向けて、後ろ向きのまま窓枠に乗る。

両手で窓枠を掴むと、素早く両足を下ろした。



よっこらしょっと。


足で壁を蹴り、両手で窓枠を掴んだまま宙ぶらりんに。



うっひょー!落ちる落ちる!


足元を確認しながら手を離し、無事着地成功。


えーっと、取り敢えずあっちに行ったらいいんだよね?


目的地を確認して、コンクリート造りの屋根の上を軽快に走り出す。



と、その時、背後から聞こえてきたのは男の叫び声。



「テッメェ!逃げんじゃねぇー!よくも靴台無しにしてくれたな!」



……あらま。


どうやらあたしの“踏んだら引っ付いちゃうよ?靴底が”作戦に引っ掛かったのは彼らしい。


薬を持ってきてくれるって言ってた男の子はどこに行ったんだろう?


窓からぎゃあぎゃあ喚き散らしている男の子を見ながらコテンと首を傾げる。



っていっけない!早く逃げなきゃ!


そう思ったけど、喚いてる男の子はいつまで経っても追いかけて来る気配はなく。


もしかして、あたしの罠に引っ掛かって靴がないとか?


だとしたら笑える。


凛音ちゃんの作戦大成功だね!


お気の毒様~。


未だに喚いている男の子にアッカンベーをして、再び第八倉庫を目指して走り出した。


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