Ri.Night Ⅱ
右方から迫ってくる敵を横目で一瞥し、そのまま真っ直ぐ突き進む。
前方に目を向けると、大きな木が数本横一列に並んで立っているのが見えて、その後ろには網状のフェンスがあった。
ちょっと待って。まさか行き止まり!?入り口は反対側だったの!?
ここまで来たらもう引き返すという選択肢はなくどこかに進まなければならない。
左右に道はなく、後ろには敵。
真っ直ぐ行ったらいいんだろうけど、きっと反対側から回り込んでるからこのまま進むのは危険だ。
となると、他に逃げ道を探すしかない。
何か、何かない!?
停まっているバイクの間をすり抜けながら、チラリ、第八倉庫を見上げた。
目に飛び込んで来たのはヒビが入っているボロボロの窓。
あの窓、開いてる!
見つけた窓は少しだけ開いていて、上手くいけばあそこから進入出来ると思った。
……一か八か、やるしかないか。
倉庫に寄り添うように立っている大きな木。
あれを登っていけば倉庫に飛び移る事が出来る筈。
まぁ、あくまで想像でだけど。
あとは自分の運動神経次第だ。
よし。
「居たぞ!あそこだ!捕まえろ!」
助走をつけようとした、その時、前方から現れた数人の男達。
やっぱり回り込まれてた!
危なかった。あのまま真っ直ぐ行ってたら挟み撃ちにされて捕まってた。
っていうか、早く木に登らないと!
枝分かれしてる所まで約一メートル弱。
上手くいかなかったら即ゲームオーバーだ。
確実に登るには、木のすぐ傍にある網状のフェンスを登るしかない。
「テメェ、降りてこい!!」
フェンスをよじ登っているあたしを見て、男達も同じ様にフェンスに足をかける。