Ri.Night Ⅱ
「アンタねぇ!あたしが此処まで来るのにどれだけ体力使ったと思ってんの!?普段おしとやかなあたしが木登りまでしたんだからね!!」
その場で仁王立ちし、煌に向かってビシッと指を差すと、「は?木登り?」と目が点になった煌。
その隣では十夜が何言ってんだ的な顔で顔を顰めてるし。
コイツ等、あたしの苦労を全然分かってない!
「あたし、ロープで縛られたんだよ!?それをカッターで──」
「凛音!!」
「凛音ちゃん!後ろ!!」
「……へ?」
十夜と壱さんの言葉に一瞬きょとんと目を見開くあたし。
けど、背後に気配を感じて、瞬時に振り返った。
「……っ」
振り向いた瞬間、視界に映ったのは人の腕。
その腕をしゃがんで交わし、膝をついた所で敵を確認した。
目が合ったのは悔しそうな顔であたしを見下ろしている一人の男。
この男、さっきあたしが蹴った男だ。
という事は……。
……やっぱり。
廊下の奥から走ってきた男達にチッと舌打ちする。
煌に文句言ってる場合じゃなかった。
此処に居れば安全だと思ったのに、どうやらそうではなかったようだ。