Ri.Night Ⅱ
「マジかよ……」
目を見開いたまま、信じられないとでも言うようにそう小さく呟いた煌に隣にいた彼方も同様に呟いた。
煌達が驚くのも無理はない。鳳皇メンバーは凛音の喧嘩する姿を見た事がなかったから。
「あれは本当にりっちゃんなのか……?」
凛音がプロレスに興味があるのは知っていたし、運動神経が良いのも知っていた。
けれど、喧嘩が出来るのは知らなかった。
「そう言えば、あたし強いからって言ってた気が……」
本人がそう豪語していたことがあったけど、煌達はそれを本気にしてなかった。
今、見ている凛音は、間違いなく幹部クラス、いや、それ以上の実力があるといってもおかしくはない。
男にはない優雅さ。
男にはない身のこなし。
普段とは正反対の冷やかな瞳に怒りのオーラ。
無表情で戦うその姿はまるで別人。
本当なら直ぐにでも駆け出していかなければいけない筈なのに、鳳皇メンバーはそれさえも忘れる程目を奪われていた。
圧倒的な力を見せ付ける鳳凰妃。
それは間違いなく“鳳皇”が望む鳳凰妃の姿だった。
-客観的視点 end-