Ri.Night Ⅱ









別れがやって来るのは早くて、気付いた時にはもう繁華街に到着していた。


メイン通りから一本外れた車道にバイクを止めて、十夜に降ろして貰う。



人通りが多くて良かった。


これなら紛れやすそうだ。





ふぅ、と小さく深呼吸して、スカートを強く握り締める。




そして──



「十夜」



意を決して、十夜を呼んだ。



その呼び掛けにバイクを移動させようとしていた十夜が立ち止まり、肩越しに振り返る。



あたしを真っ直ぐ見据えるのは、綺麗な黒。


いつもならその黒を見るだけで胸が高鳴るのに、今は不思議と落ち着いていた。


周りに人が多いから?

それとも『諦め』がついたから?


どちらかは分からないけど、今更そんなものどっちでも良かった。


だって、結果は分かってるから。





「十夜、そのまま聞いて」




あたしの雰囲気で何か感じ取ったのだろうか。


次第に曇っていく十夜の表情。


だけど、雰囲気だけじゃ伝わらない。


言葉にしないと伝わらない。



だから、伝える。





「……あたし、鳳皇抜ける」





本心ではない言葉を。


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