Ri.Night Ⅱ
此処に来たのは失敗だった。
此処は良い事も悪い事も思い出し過ぎる。
今のあたしには不適切な場所だ。
「ママ~!くまさんいっぱいー!!」
「………っ」
遠くの方から聞こえてきた子供の声にハッと我に返って、流れ落ちる涙を慌てて手の甲で拭った。
帰ろう。
あれから結構時間が経ったし、大丈夫だよね?
お店を出て、念の為周囲を確認する。
十夜の姿がない事に安堵しながらも、心の奥では寂しいと感じてる自分がいて。
本当に自分勝手だと思った。
自分から離れたくせに“寂しい”なんて、そんなこと思う資格ないのに。
遅い時間なのにまだまだ人が多い繁華街。
人の話し声や笑い声に少し安心感を覚えた。
今はそれに救われてるような気がする。
──そう思っていたのに。
「ねぇ」
まさかこんな所で狙われるなんて思ってもいなかった。
「──何?」
振り返った先に居たのは、数人の男達。