Ri.Night Ⅱ
「それにしても運が良かった。まさか黒皇と二人で繁華街に来るとは思ってもなかったしな。しかもアイツと離れて一人になってくれたし。ホント運が良かった」
「………」
……そうか。そういう事だったのか。
何であたしの存在を知っているのか不思議だったけど、あたしが十夜と一緒に居たから。
だからバレたんだ。
失敗した。
繁華街だと逃げやすいと思ったから繁華街を選んだのに。
こんな事なら倉庫で言った方が良かった。
「ってな訳で、俺等と一緒に来い」
「は!?」
ちょ、冗談でしょ!?
あたしの腕を乱暴に掴んで歩き出す男に慌てて抵抗する。
「離してよ!あたし関係ないって言ってんでしょ!?」
冗談じゃない。
連れて行かれたら十夜達に迷惑が掛かるのが目に見えてる。
それだけは絶対に御免だ。
「離してってば!行かないって言ってんでしょ!?それにあたしはもう──」
鳳皇とは関係ないの……っ!!
そう、心の中で叫んだ時だった。
「──その腕、離せよ」
背後から聞こえてきたのは、男の声。
「……っ、なんで……」
直ぐ様振り返ると、そこに居たのは此処に居る筈のない中田で。
「……何で中田が此処に居るの?」
久しく見ていなかったその顔に動揺が隠せなかった。