Ri.Night Ⅱ
唸る様に吐き出されたその言葉に息を呑んで。
「ぜってぇ逃がさねぇ」
強く抱き締める腕に胸が激しく高鳴った。
「お前は俺等の仲間だ」
「……っ、十夜……」
「だから離れんな」
「………」
「俺から、離れんな」
「………っ…」
十夜の言葉にもう涙が堪えきれなかった。
心の奥底にしまい込んだ感情が、少しずつ溢れ出していく。
……っ、駄目だよ。
せっかく決心したのに。
やっと諦める決心がついたのに。
そんな事、言わないでよ。
「──凛音。俺から離れんな」
言わないでってば……っ。
離さないとでも言うようにあたしを強く抱き締める十夜に涙がポロポロと零れ落ちて、十夜の服を静かに濡らしていく。
「うぅ……」
……やっぱり、駄目だよ。
離れるなんて出来ない。
十夜にここまで言われたら離れられないよ……っ。
「……っ、とお、や……」
十夜の胸元で小さく呟いて、服をギュッと握り締める。
すると、フッと抱き締める力が弱くなって、ゆっくりと解放された。
「……十、夜?」
そっとあたしの両頬を包み込む、十夜の大きな手。
それに促されて顔を上げると、
「……フッ、ひでぇ顔」
目が合った途端笑われた。
「……うるさい」
いつもと変わらない意地悪な十夜にムッと唇を尖らせると、十夜はムギュと頬っぺたを引き寄せて更に唇を尖らせた。
「とお──」
「凛音」
文句を言ってやろうとかと思ったのに、十夜が真剣な顔をするから言葉が出なくて。
あたしを見つめる漆黒の瞳に吸い込まれそうになる。