Ri.Night Ⅱ


「……何よ。怪我してないじゃない。アイツ嘘ついたの!?」


「り、りっちゃん、もげるもげる!首取れる!!」


「む」



顔掴んだままなの忘れてた。



「ごめんごめん」



手を離して、ストンとその場に腰を下ろす。



「オイ。何で顔しか見ねぇんだよ」


「ん?何でって彼方は顔が命でしょ?」



訝しげに聞いてくる煌に、エッへんと腰に手をあててそう言い放つあたし。


っていうか顔以外も見たし!


まぁ、チラッとだけど。




「……ブッ」



一瞬キョトンとした煌だけど、直ぐにブハッっと吹き出して豪快に笑い出した。



「ギャハハハハハ!!面白ぇ!彼方は顔だけかよ!」

「凛音ちゃんヤベェ!!」

「顔だけ!顔だけって!」



その横では陽と彼方、そして雷さんまでもが爆笑していて。


壱さんはと言うと、顔を伏せて笑いを堪えている。



「りっちゃん、ヒドェ……。俺、怪我したんだぜ?車が突っ込んできてさ。それを避けたら逆にバイクに突っ込んでさ。すっげぇ痛かったんだからな!」



ホラ、と言った彼方は、着ているTシャツをピラッと捲って見せてきた。



「ちょっ!彼方!」



いきなりお腹を見せられて、「何やってんの!?」と両手で顔を覆う。


けど、指の隙間から綺麗に割れた腹筋を見た時、



「腹筋割れてるー!!」



顔を隠していた手は直ぐに撤去された。



「うわ~、良い腹筋~」



近くで拝もうと四つんばになって彼方に近寄っていくと。


「うわっ!」


あともう少しという所で後ろから思いっきり腰を引かれた。



「……ビックリしたぁ」



四つんばになっていたかと思ったら、気付いた時にはもう仰向けになっていて。



「と、十夜?」



見上げれば、十夜の顔がすぐ目の前にあった。





「──お前、近付きすぎ」


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