Ri.Night Ⅱ



そう言われたかと思ったらビシッとデコピンされて、ムッと唇を尖らせる。



「何でデコピンすんの!?」



あたし何もしてないのに!


講義の視線を送ると、不貞腐れた顔でツンとそっぽを向かれてしまった。


そんな可愛い事しても許さないんだから!




……っていうか、ホント今更だけど、この体勢おかしくない?


何であたし十夜に抱き締められてるの?



仰向けに転んだあたしは上半身を十夜に支えられている状態で。

お腹には十夜の腕、背中は胸板へとピッタリとくっついていた。



ちょっとこの体勢は恥ずかしい……。



「十夜、離して!」

「……」



そう訴えるけど、十夜は腰をガッチリ掴んだまま離してくれなくて。



もう勘弁してよ……。



恥ずかしいやら何やらで、何だか居た堪れなくなってきた。



──と、その時。



「十夜だけずりぃーぞ!りっちゃん、こっちにもおいで~」



満面の笑みであたしに向かって両手を広げる彼方。


危険なニオイがプンプンするその笑顔に、うーん、と本気で考え込む。


不本意だけど仕方ない。


この体勢から逃れるにはそれしか道が無さそうだし。


よし、じゃあ……と、身体を少し動かした時だった。



「彼方、ズリィ!俺も!」


「じゃあ、俺も!」



ハイッと挙手した陽と雷さん。


……うん。彼方よりこの二人の方が絶対良いし。

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