Ri.Night Ⅱ
そう思って身体を起こそうとしたけれど、ガッチリと固定されてるもんだから起き上がれず。
どうしよう、と、また悩む。
「皆、凛音ちゃん困ってるから。
ほら、十夜も離してあげろって」
壱さん!
こんな時、必ず助けてくれるのは王子様壱さんで。
壱さんは苦笑しながらあたしの手を取り、ゆっくりと起き上がらせてくれた。
……けど、起き上がった所までは良かったんだけど、そこから先はやっぱり許してくれず。
それどころか逆に引き寄せられてしまった。
「……ったく。十夜、もう時間も遅いし凛音ちゃん送ってあげなきゃ駄目だろ?」
まるで駄々こねている子供の様にあたしを引き止める十夜に、壱さんの叱咤が飛ぶ。
「げ、ホントだ。もう12時回ってる」
「帰ろうぜ」
壱さんの言葉で一斉に立ち上がる皆。
「……十夜、帰らないの?」
「………」
皆帰ろうとしているのに、それでも動こうとしない十夜。
十夜は何か言いたげにジッとあたしを見据えているだけで口は閉ざしたまま。
「……十夜?」
「……」
……あぁ、そういうことか。
十夜の真っ直ぐな目を見て分かった。
十夜はまだあたしが“離れる”と思ってるんだ。
離したら逃げると思ってる。
だから離そうとしない。