Ri.Night Ⅱ
バイクを走らせて数分後、マンションの前へと到着。
「ホラ」
エンジンをかけたままバイクから降りた煌が、いつものように手を差し出してきた。
地面へと降ろして貰い、「ありがと」とお礼を言ってヘルメットを渡す。
「明日も朝早ぇから早く寝ろよ」
「うん、煌もね」
「俺は遅くても起きれる」
「あたしも起きれ──」
「ねぇだろ」
うっ。よくお分かりで。
冷めた目であたしを見下ろす煌に「あはは」と笑ってスルー。
これ以上怒られるのは勘弁だからね。凛音ちゃんも学習するのさ。
「早く寝ろよ。寝坊したら置いて行くぞ」
「はーい」
寝坊したら間違いなく十夜にも怒られるしね。
早く寝なきゃ。
じゃないと絶対──
「って、えぇぇぇぇぇ!?」
何、いきなり!?
突然ズイッと迫ってきた煌に一歩後ずされば、マンションのブロック塀に背中をドンッとぶつかって。
「──凛音」
その囁きと共に煌の顔が迫ってきた。
……と思ったら。
「いったぁーい!!」
ゴンッという凄まじい音がその場に響いて、おでこに激痛が走る。
「今日の罰だ」
何が罰だよ!!
ジンジンするおでこを両手で押さえて煌を睨み付けるけど、煌は悪びれる様子もなく視線を上へと向けている。
そのしてやったり顔がムカツクんですけど!!