Ri.Night Ⅱ
「………」
……っていうか、何で十夜さんはそんなにキレてらっしゃるのでしょうか。
いつもの定位置に鎮座している総長様は何故か超不機嫌で。
「眠てぇなら早く寝ろ」
「……はい」
座席に腰を下ろすや否やそう言われ、プルプルチワワになりながら返事をする凛音ちゃん。
『女は寝るまでする事がいっぱいあるの!!』
そう言えるものなら言ってやりたい。
けど、そんな事言おうモンなら絶対言い返されるのが目に見えてるから、お口チャック。
「凛音」
「うん?」
助手席から声がして、おもむろに振り向く。
すると。
「昨日はどーも」
「ひっ……!」
そこにはニヒルな笑みを浮かべている煌がいて。
直ぐ様助手席から身体を遠ざけた。
忘れてた。忘れてたよ!
あたし、昨日煌に頭突きかまして逃げたんだった!
「……テッメェ、よくも頭突きかましやがったな!」
こっわっ!
ガン付けにくる煌に圧倒されて、座席にヒシッと縋り付く。
っていうか、あたし悪くないし!
余計な事した煌が悪いんでしょ!
「オイ、あんな事って何だよ」
「ん?」
不意にそう問い掛けられて振り向けば、さっきよりもパワーアップした大魔王があたしを睨んでいて。
な、何で!?不機嫌になるような事何も言ってないのに!
増えた敵に更に身体を縮こませるあたし。