Ri.Night Ⅱ
「あんな事って?」
「……え?あたしそんな事言いました?」
そう言って笑って誤魔化すけれど。
「あんな事って?」
「………」
無理でした。
威圧感が半端無くて誤魔化せそうにありません。
「いや、その……」
見透かされそうで十夜の目が見れない。
「十夜、あんな事っつーのはな、昨日凛音と──」
「煌!!」
「ってぇ!」
余計な事言うなっつーの!
暴露しようとした煌の後頭部を、後ろから思いっきり引っぱたいて黙らせる。
「おまっ──」
「それ以上喋ったら焼肉奢ってもらうからね」
「………」
耳元でそう囁けば、途端に黙り込んだ煌。
……オイ。それはそれでムカツクんですけど。
あたしの事どんだけ大食いだと思ってんの。
「──凛音」
疲れた、と背凭れに凭れて目を瞑ると、タイミングを見計らったかの様に声を掛けてきた十夜さん。
けど、あたしはそれを無視。
だって、これ以上喋ったら絶対ボロが出るから。
「オイ」
「………」
「……チッ。後で覚えてろよ」
ひぇ!
聞こえてきた舌打ちに早くも狸寝入りした事を後悔するあたし。
けど、今更起きる事も出来なくて。
結局、駐車場に着くまで寝たフリを続ける事になってしまった。