Ri.Night Ⅱ
「ったく、相変わらずだな凛音は。俺が居なかったらどうすんだよ」
「………」
“俺が居なかったら”
そうだ。
今、当たり前みたいに陽と手を繋いでいるけど、昨日鳳皇を抜けていたら学校なんて来ていなかったんだ。
十夜達に車で迎えに来て貰う事も、こうやって陽と手を繋いで階段を上がる事も無かった。
そう思うと、今一緒に居られる事が凄く嬉しく感じて。
「陽……」
陽の腕にそっと抱き付いた。
「凛音?ってか何でそんなに泣きそうな顔してんだよ。
もしかしてさっき俺が注意したからか?いや、あれは気をつけろって言っただけで怒った訳じゃないからな!?だから泣くなよ!」
あたしの顔を覗き込むなり慌て始めた陽に、プッと笑みが込み上げる。
「可愛いぞコノヤロー」
「は?」
あたし、そんな酷い顔してた?
オロオロと慌てふためく陽を見て、哀しい気持ちが一瞬にして何処かに吹き飛んでしまった。
「行こっか、陽」
「うわっ……!」
不意をついて腕をグイッと引っ張ると、陽は前のめりになりながらあたしの後をついてきた。
──もう少しだけ。
もう少しだけでいいから皆と一緒に居させて下さい。
神様お願いします。
まだ皆と一緒に居たいんです。
少しだけでいいから……。